原子力政策 2019 7 7

書名 放射線・放射能と原子力発電
著者 安東 醇  通商産業研究社

 コスト高であり、放射性廃棄物の問題もあり、
地震が多発するにもかかわらず、
日本が原子力発電所の建設を始めたのは、
当時、中東危機や中東戦争があったからです。
 中東戦争は、1948年から1973年までに、
第1次中東戦争から第4次中東戦争まで、
合計4回もありました。
 当時、中東のペルシャ湾を経由する輸入原油の割合が、
90%以上になっていて、
中東戦争によって、ペルシャ湾封鎖や、
日本のタンカーへの攻撃があれば、
日本経済は、大きな打撃を受けるので、
原子力政策を急ピッチで推進する必要性があったのです。
 現在においても、中東危機は「休火山」の状態であり、
いつ噴火するかわからない状態であり、
ペルシャ湾のホルムズ海峡封鎖や、
タンカー攻撃を想定する必要があります。
 日本は、原油輸入の多角化を図るべきでしょう。
現在、シェール革命によって、
アメリカは、世界最大の産油国になりましたので、
日本は、アメリカからの大規模な輸入を考えるべきです。
 さて、原子力発電の燃料は、ウラン235です。
しかしながら、天然ウランの99.3%は、
核分裂をしないウラン238です。
つまり、自然界には、ウラン235が0.7%、ウラン238が99.3%という割合です。
 このままでは、ウラン235が少なすぎて、燃料にはならないです。
そこで、ウラン235の割合が約4%程度になるまで濃縮をする必要があります。
 ちなみに、ウラン235を使った原子爆弾は、
ウラン235の割合が、ほぼ100%に近い濃縮です。
 ウラン235を4%程度に濃縮するのは、比較的簡単ですが、
100%近くまで濃縮するのは、技術的に困難を伴います。
 そこで、核兵器を作りたい国は、原子力発電所を建設します。
原子力発電所を運転していると、プルトニウム239が生成されます。
このプルトニウム239を抽出して、プルトニウム型原子爆弾を作ることができます。


















































































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